ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)とは、ボラティリティ(Volatility)と呼ばれる相場の振れ幅を一定の期間の価格データの情報から調査し、統計学など様々な情報から価格が変動される範囲を予測してチャート上に表示することが出来るテクニカル指標です。
ボリンジャーとは、アメリカ合衆国 バーモント州 モントピリア出身のジョン・ボリンジャー(John A. Bollinger)のの名前から付けられたものです。
1950年5月27日生まれで、70歳を超えた今でも世界中で講演をしたり、作家としても有名な方です。
ボラティリティ
ボリンジャーバンドの概要
FXでは特定の期間の価格を算出する場合、その期間の平均値を計算して目安価格を算出します。
ただ、平均価格のみを信じて、特定の期間の価格を判断してしまうと、その期間の価格が適正な水準に基づいて推移していたのか、もしくは、適正な水準ではなく、大きく上下上下と価格が変動していたのかわかりません。
価格が大きく上下上下と動いている場合では、ローソク足確定後の次のローソク足の始値も、1本前のローソク足の終値から大きく窓を開く可能性があります。
その為、平均の価格を基準として、大きく変動する価格分を足して、ローソク足確定後の次のローソク足始値の価格を予想の範囲として想定するように計算します。
価格の変動が一定の範囲内の小さい価格幅の中で動いているレンジ相場と呼ばれるような状況では、次のローソク足の始値もその小さい価格幅の中に収まる可能性が高いと考えられますので、平均値を中心として小さい価格幅を想定するように計算します。
ボリンジャーバンドがチャート上に表示されるボラティリティ(Volatility)と呼ばれる相場の振れ幅とは、この現在から過去に対しての動きから予想される、次のローソク足の予想範囲を表します。
ボラティリティ(Volatility)と呼ばれる相場の振れ幅を求めるのに、ボリンジャーバンドでは「標準偏差」を用いられます。
チャート上の価格の動きと一緒に表示することにより、ボラティリティ(Volatility)と呼ばれる相場の振れ幅の変動の状況や値動きの状況ビジュアル的に判断出来ますので、初心者から上級者まで幅広く愛用されているテクニカル指標となっています。
ボリンジャーバンドの標準偏差とは?
標準偏差の算出式は以下のとおりです。
n:データの数
Xi:各データの値
Q:データの平均値
ボリンジャーバンドの標準偏差とは、直近のローソク足のn期間の各終値が、n期間のSMAからどれくらいバラバラになっているかを表します。
SMAから離れた終値が多ければ多いほど標準偏差の値は大きくなり、SMAに近い終値が多ければ多いほど標準偏差の値は小さくなります。
これらの情報がボリンジャーバンド幅のビジュアル的に拡大や縮小になって表示されます。
標準偏差はσ(シグマ)が使われるため、ボリンジャーバンドのラインを1σ(シグマ)などと呼ばれます。
1σ(シグマ:標準偏差)の値は、各終値の値のバラバラ具合から、平均価格を中心にプラスとマイナスへ均等に分布している正規分布であった場合、平均価格のプラスとマイナス1σの範囲内では約68%がそのデータ内に収まることとなります。
平均価格を中心に少しずつ価格幅を広げていき、その価格データの約68%が収まる範囲のプラスの方、マイナスの方のどちらか片方の平均価格からの距離となります。
平均価格を中心に標準偏差を2倍したプラスとマイナス2σ(シグマ:標準偏差)の範囲には、各値の約95%が収まり、標準偏差を3倍したプラスとマイナス3σ(シグマ:標準偏差)の範囲には、各値の約99%が収まる範囲となります。
ボリンジャーバンドは、
- アッパーバンド2(+2σのライン)
- アッパーバンド1(+1σのライン)
- ミッドバンド(移動平均線)
- ロワーバンド1(-1σのライン)
- ロワーバンド2(-2σのライン)
の5本のラインをチャート上に表示されます。
ミッドバンドの移動平均線には、一般的に20~25SMA(単純移動平均線)が使われることが多いです。
更に、
- アッパーバンド3(+3σのライン)
- ロワーバンド3(-3σのライン)
を表示されている方も世界中には多くいます。
アッパーバンド3=ミッドバンド+3σ
アッパーバンド2=ミッドバンド+2σ
アッパーバンド1=ミッドバンド+σ
ロワーバンド1=ミッドバンド−σ
ロワーバンド2=ミッドバンド−2σ
ロワーバンド3=ミッドバンド−3σ
ボリンジャーバンドの確認方法
ボリンジャーバンドは、価格があまり動かないレンジ相場などにおいて各バンドの幅が小さくなっていくようになっており、逆に価格が大きく変動しているような上昇トレンドや下降トレンド、その他のニュースなどにの場合は各バンドの幅が開いていきます。
価格の動く幅が小さい状況、つまり膠着状態が続いている相場は、次に動くためのエネルギーを少しずつ溜めている状況と考えられています。
つまり、価格の動く幅が大きい場合は、その膠着状態で溜められたエネルギーを一気に放出している状況と考えられます。
このようなことから、ボリンジャーバンドを表示し、各バンドの幅を確認し、各バンドの幅が小さい場合には、エネルギーを溜めている状態で、もう少しで価格が大きく動き始めるぞ!ということがわかるようになっています。
反対に、ボリンジャーバンドの各バンドの幅が大きく広がった状態の後、少しずつ狭まっていく場合、エネルギーを放出が終了し、少しずつまたエネルギーを溜める状況に戻っていっていることを表します。
ボリンジャーバンドを使った各種トレード手法
ボリンジャーバンドを既に知っている方は、ボリンジャーバンドは逆張りでのエントリーがメインの使い方だと思っている方も多いです。
しかし、ボリンジャーバンドの本来の使い方は、順張りだ。とボリンジャーバンドの開発者であるジョン・ボリンジャーは言っています。
どのような使い方だとしても、ボリンジャーバンドはビジュアル的に表示されることもあり、非常に見やすくわかりやすいテクニカル指標ですので、様々な使い方をしてそれぞれの相場に併せた運用をするのが良いでしょう。
順張り(ブレークアウト)
レンジ相場かた抜け出した瞬間を狙う手法
小さい値幅をウロウロして、どっちつかずの値幅を暫く続けていると各バンド幅が小さくなっていきます。
この状況はエネルギーを溜めている状況です。つまり、大きく動く前の前兆だといえるでしょう。
バンド幅が小さくなっている状況の中で、終値がプラスマイナス2σを超えて確定した場合、その超えた方向に向かってエントリーをします。
終値が2σを超えて確定した後に、再度2σ以内に戻って終値が確定した場合は損失を確定するほうが良いでしょう。
2σをしっかり超えていき、3σまで到達した場合に利益を確定するということも良いでしょう。
逆張り
レンジ相場では逆張りをするというのも良いでしょう。
プラスマイナス1σ~プラスマイナス3σをサポートラインやレジスタンスラインと仮定して、価格ががマイナス1σ~マイナス3σに到達した場合に買い、プラス1σ~プラス3σに到達した場合に売るという方法です。
逆張りですので、あまり大きな値幅を求めようとしないことも重要です。
プラスマイナス1σ以内で反転する確率:68%
プラスマイナス2σ以内で反転する確率:95%
プラスマイナス3σ以内で反転する確率:99%
となっていますので、逆張りに適していると言えますが、何かの事件やニュースなどにより、これらの各バンドを大きく超えて推移する場合もありますので、注意が必要です。
最悪の事態を想定してトレードを行うということが重要であることを常に念頭に入れておきましょう。
バンドウォーク
上昇トレンド、もしくは下降トレンドがしっかり発生している場合に適した手法です。
例えば、1σを超えて終値が確定した場合、そのまま中心線に戻っていくと思いきや、その広がっていく1σに沿ってどんどん価格が動いていく状況のことを指します。
相場に上昇トレンドや下降トレンドが発生している場合(中心線の傾きが大きい場合)、中心線とプラスマイナス2σライン、あるいはプラスマイナス1σラインとプラスマイナス2σラインの間で激しく上下運動を繰り返しながら、価格が上昇もしくは下降していくことがあります。
これはリアルタイムでチャートを見ると判断が難しい場合がありますが、過去のチャートを見ると簡単にバンドウォークをしていたのだと把握することが出来ます。
ここを確認しましょう!
ボリンジャーバンドには様々な活用方法があり、主に上の3つの方法が有名です。
一般的に多く使われるのは、ブレークアウト手法になります。
使用例1.
使用例2.
計算式を確認しましょう。
計算式を確認することはそのテクニカル指標を理解する上で重要なことです。
ただし、この計算式を理解出来ない場合でも、最低限使い方さえわかれば問題ありませんのでご安心ください。
標準偏差の計算式
標準偏差=√(n×n日間の終値の2乗の合計-n日間の終値の合計の2乗)÷(n×(n-1))
ボリンジャーバンドの計算式
±1σ = n日の移動平均 ± n日の標準偏差
±2σ = n日の移動平均 ± n日の標準偏差 × 2
±3σ = n日の移動平均 ± n日の標準偏差 × 3
価格がバンド内に収まる確率について
ボリンジャーバンドの±1σの範囲内に収まる確率 ⇒ 約68.3%
ボリンジャーバンドの±2σの範囲内に収まる確率 ⇒ 約95.4%
ボリンジャーバンドの±3σの範囲内に収まる確率 ⇒ 約99.7%
ボリンジャーバンドの各バンドを逆張りで使う場合には、この数値を覚えておくことが重要です。
スクイーズ(相場が膠着)しているときには不向き
スクイーズとは、ボリンジャーバンドが収縮している状態です。
つまり、価格の変動が小さく、相場が膠着している状況を指します。
以下の画像をご確認ください。
【ボリンジャーバンドがスクイーズ(膠着)している状況】
ボリンジャーバンドがスクイーズ(膠着)している状況では、ボラティリティ(価格の振れ幅)が小さく、価格が上下に行ったり来たりするレンジ相場が発生していることを表します。
つまり、上昇トレンドも下降トレンドも発生していない状況であるといえるため、ブレークアウト手法などの順張り手法を用いることは難しく、大きな利益を期待出来る状況ではないということがわかります。
バンドウォークは大チャンス?早めの決断が重要
バンドウォークとは、ローソク足が1σ(シグマ)や2σ(シグマ)や3σ(シグマ)に沿って一方通行に価格が推移している状況のことを指します。
以下の画像をご確認ください。
【ボリンジャーバンドがバンドウォークしている状態】
ボリンジャーバンドがバンドウォーク(1σ(シグマ)や2σ(シグマ)や3σ(シグマ)に沿って一方通行に価格が推移)している状況では、その方向へのトレンドの継続の可能性が高くなり、更にその方向へ大きく動いていくという動きをする場合が多いです。
つまり、上昇トレンドや下降トレンドが発生し、バンドウォークをしていると判断した場合に、その方向へエントリーをすれば、利益を得られる可能性が高まります。
バンドウォークをこれからする。という判断が難しいのであれば、バンドウォークをし始めた瞬間からエントリーをすることにより損失を限定した安全なエントリーをすることが可能です。
酒田五法と組み合わせるとより効果的
ボリンジャーバンドでブレークアウト手法の順張りでエントリーをする方法として、「酒田五法」を用いた運用がオススメとなっています。


具体的な方法としましては、上の方で書きましたとおり、+1σから+2σに価格がタッチした状況で、さらに+2σをブレイクしたら「次のローソク足も陽線が発生するのではないのか?」と想定をして、順張りを行えば成功率が高まります。
このように、ボリンジャーバンドのブレークアウト手法である順張りをした後に「酒田五法」のローソク足パターンである「赤三兵(あかさんぺい)」が出現しその後も順調に価格が伸びていることがわかります。
つまり、「酒田五法」のローソク足パターンを思い出し、今後そのように相場が動いていくのでは?と想定することが利益を積み重ねていくうえで重要なことであるといえるでしょう。
まとめ
ボリンジャーバンドはチャート上にビジュアル的に各ラインを引いて表示してくれるため、見ただけでわかりやすいテクニカル指標となっています。
その為、初心者から上級者まで世界中の様々なトレーダーの方に用いられるように幅広いニーズがあります。
ボリンジャーバンド単体で使うことも出来ますが、「酒田五法」のローソク足パターンなどと一緒に使用することにより、更なる成功率を上げることが出来るでしょう。
番外編:ボリンジャーバンドを使った取引におすすめのブローカー
ボリンジャーバンドを使った取引を行う場合、バンドウォークや順張りだと長期でポジションを保有して利益を伸ばしていきたいと考えます。
その場合にオススメなのは、スワップがほとんどの銘柄で発生しないExness(エクスネス)です。
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